【仏教】オウム真理教は仏教なのか

今年、四国遍路を徒歩で結願したのを機に、少しずつ仏教の勉強を始めるようになりました。といっても、佐々木閑氏の「ゴータマはいかにしてブッダとなったのか」と、
ワールポラ・ラーフラ氏の「ブッダが説いたこと」を読んだだけで、お釈迦様の時代の原典仏教に偏っていますが。

そんな中で飛び込んできた、麻原彰晃の死刑執行のニュース。
かねがね「人生に迷った人の受け皿がカルト教団ではいかん」と思っていましたが、オウム真理教が新興派の仏教として取り扱われていることに、大きな違和感が。
付け焼刃の知識しかない私でも、「オウム真理教…いや仏教ちゃうやろ…」って思う点が結構ありまして、ちょっとまとめることにしました。

 

1. 様々な事業で利益を上げる

オウム真理教はPC販売、建設・不動産業、飲食など、様々な事業を行っていたようですが…。
あれ?仏教のサンガ(お坊さんの集団)って、自分で事業をしちゃいけないんじゃなかったっけ?

ブッダの狙いは、街中を拠点とし、街の人から食事や衣服を恵んでもらうことで、修行者に「私は周りの人に生かされているんだなぁ」という念を抱かせること。諸法無我ですね。
オウム真理教は、自分たちの事業で営利を得て、山奥で化学兵器を開発していたわけです。ブッダの教えと真逆じゃないか…。

 

2. 超能力を得るために修行する

オウム真理教といえば空中浮遊だ!という人も多いのだとか(私は初めて知りましたが…)。麻原彰晃は「超能力者」を自称していました。
でも、ブッダは自身を「超能力者」だとは言いませんでした。これは、我は神の子というイエスや、我は預言者というムハンマドとも違いますね。

ブッダは悟りへの道を示しましたが、それは誰でも実行可能なものです。
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1. 苦しみからの解脱を「苦集滅道」の4つのステップに分ける
2. 苦の正体を「物質」「感覚」「意識」「意志」などの五蘊(色受想行識)に分ける
3. 苦を消すには八正道と戒律を守る
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非常にシンプルな教えです。特に、苦の正体を五蘊に分けたことは、20世紀に生まれた認知行動療法にも繋がる気がしていて、「何というブッダの先見の明!」と個人的には思います。
しかし、ブッダの教えを愚直に実行し続けるのは非常に難しい。
スプーンを曲げるユリ・ゲラーを超能力者といっても、イチローを超能力者という人はいないでしょう。麻原彰晃ブッダの違いはそこだろうな、と思っています。

 

3. 教えに従わない人に容赦しない

オウム真理教で最初の殺人事件は、脱会しようとした信者がターゲットだったそう。
しかし、当然ブッダはこのようなことはしませんでした。

ブッダジャイナ教祖の弟子に論戦を挑まれ、その弟子を論破。彼は仏教への改宗を申し出るのですが、
ブッダは「もう一回ゆっくりと考えておいで。今までの師匠の恩を忘れちゃだめだぞ」と再考を促したそう。
教義と相容れない(相容れなかった)人への対応が180度違いますね。

というわけで、個人的には「オウム真理教を仏教だなんて…絶対に言わないでほしいな~」と思います。
日本仏教を勉強したら類似点が見つかるのかもしれませんが…。それでも「オウム真理教=仏教」とは言いたくありません。
敬虔なムスリムやクリスチャンが、「ISIS=イスラム教じゃねーよ…」「KKKキリスト教じゃねーよ…」と嘆いているように。